先輩パパとママの毎日コラムvol.330

きみと一緒、あたらしい時間「しあわせすぎるおっぱい時間」

2020/5/25
きみと一緒、あたらしい時間「しあわせすぎるおっぱい... きみと一緒、あたらしい時間「しあわせすぎるおっぱい...

料理創作ユニットGomaの中村亮子さんの子育て日記。今回のテーマは「お母さん」を少しずつ成長させてくれた幸せな「おっぱい時間」です。

正直な話、出産前は自分がおっぱいを子どもにあげられると思っていませんでした。なぜかというと、うちの家系はあんまり母乳が出ないと思っていたから。母も母乳はあまり出なかったらしく、私はほとんどミルクで育ったということでした。そんなわけで、自分もそうだろうと期待しておらず…当然「母乳で育てたい!」なんて強い考えもありませんでした(いろんなことにこだわりがあんまりない方ではありますが…)。

授乳

が、いざ息子を産んでみると、「わー!出た!」と、母になった身体の不思議を味わえて意外な喜びにびっくり。そしてこれが….なかなかいいのです!今はもう遠い昔に思えるおっぱい生活ですが、ふと思い出すとちょっとニヤけるくらいです。

新生児期の赤ちゃん

しかし、もちろん最初からたくさん出たわけじゃなく、少しずつ少しずつお互い歩み寄った感じではありました。特にはじめましてのおっぱい時間は悲惨なものでした。小さな産まれたての息子は懸命に吸いつこうとするも、タイミングも位置もお互いにわからない。

飲みたいのに、飲めない。あげたいのに、あげられない。ああ、かわいそうな初心者母子…。

おまけに位置(角度?)がわからない息子は乳首のいろんなところに吸いつくもんだから、傷だらけになってお互いに泣いてたなぁ(息子はおなかが空いて泣き、私は痛くて泣く…)。なかなかうまくいかず落ち込む自分もいたのですが、助産師さんが丁寧にいろんなことを教えてくれました。救われたのは、助産師の皆さんの大らかさ。

「できなくて、当たり前ですよ、はじめてなんだから。赤ちゃんもお母さんも2人とも初心者で、おっぱい訓練していくんだから!」と、どの助産師さんも笑ってくれる。この「できなくて、当たり前」はほんとその後もいろんな状況でおまじないのように効きました(今もかな)。

お母さんになって「赤ちゃんよりしっかりしてなきゃ!ちゃんとやってあげなくちゃ!」とがんばっちゃいがちだった心がふと柔らかくなっていった気がします。

しかし、上手く飲めず産まれた時よりもどんどんと体重の減っていく息子。体重を増やすためにミルクにするか、このまま母乳にするか助産師さんとも話し合った結果、母乳と搾乳で何とかがんばってもう少しだけ様子を見ようということに。

赤ちゃん

何とかだいぶ上手に飲めるようになったと感じたのは、退院を翌日に控えた生後5日目の夜。供給する母乳の量も増えてきたのか、2時間以上経つと胸がパン!と張ってくるようになりビックリ。助産師さんによると、赤ちゃんが飲んでくれるほど乳腺が開いてくれるのだとか。まさにパートナーシップ!

出産したら、お母さんになれるんだと思ってたけど、そうじゃない。赤ちゃんと一緒に「お母さん」を少しずつ成長させていくんだ、と思いました。

その後、退院後もしばらく体重は横ばいで、少ししか増えずやきもきもしましたが、日に日にお互いのリズムがしっくりきて、ついにはゴクゴクと勢いよく飲んでくれるまでに成長!

腕の中でぐっすり

おっぱいを口にする息子の顔は、まさに「恍惚」という言葉がぴったりの何とも言えない表情で、その顔を一番近くで見ることができる喜びを全身で感じるたびに、産んでよかったなぁとニヤニヤ。しあわせ成分のオキシトシンって、ほんとに出るんだなーと思いました。胸の奥の方から、ツーンとした感じで始まり、じわじわと温かい想いに包まれていくという感覚。今でも想い出すだけで同じように胸がツーンとなります(笑)。ちなみに夜中の授乳は確かに眠いけど、2人きりの静かな時間はこの時だけの大事な時間のようにも思えた記憶です。

そんなしあわせなおっぱい時間も、離乳食が始まって以来の息子の食欲により、急激に終息を迎え、何と1才を待たずの卒乳となりました。

離乳食タイム

卒乳には苦労する、と聞いてただけにびっくりのスピード卒乳で私も拍子抜けしたくらい。まあ、おっぱいよりも食べ物!だったのですね。どうやら食いしん坊のDNAを引き継いでくれたようです。

息子が3才になった今もたまーに、撮りためておいた(笑)おっぱい時間の動画を観たりしちゃいます。そして、観るたびに私と息子にとって最初のミッションであったおっぱいをやり遂げた喜びを噛みしめるとともに、今来てる&これから来るであろう新たな課題もがんばろう!!とやる気をアップさせるのでした。お母さん修行はまだまだ始まったばかりなのかもしれませんね。

離乳食タイム2
中村亮子

PROFILE

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食や子どもをテーマに料理、雑貨デザインなど幅広く活動している料理創作ユニットGomaを従姉妹のアラキミカと主宰(www.gommette.com)。媒体での作品発表他、ものづくりワークショップ開催なども行う。著書に、絵本へんてこパンやさんシリーズのレシピ本『12つきのおはなし&パンレシピ』(フレーベル館刊)、『かんたん☆かわいい♡だいすきクッキング』(あかね書房刊図書館シリーズ)、レシピ付き絵本『へんてこパンやさん』(フレーベル館刊)など子どもに向けてのものも多数。
instagram.com/ryocogoma

(制作 * エチカ)

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