写真家として活動する二人の男の子のママ・原 未来さんに、子育てとカメラについて伺いました。
子育ては楽し過ぎる。楽し過ぎて夢中になりすぎるから時々止まって冷静にならなくてはいけないくらい。
元々子どもが大好きで、師匠であるホンマタカシの事務所に勤めていたときも『子ども担当は未来!』 なくらい子どもが好きで好きで仕方なかった。
とにかく子どもは素直で真っ直ぐ。嘘をつかない。そして基本楽しい事しか考えない。今しか見ていない。もーそんなところが大好き!!
なのですが、自分の子どもとなると状況は一転するから驚き。モチロン子どもといると楽しくて幸せなのだけれど、色々な責任がのし掛かるし大変なこともたくさんある。
そんなときに私は中学生の時から常にそばにあって、時を共にしてきたカメラに何度となく助けられてきた。
もはやカメラと一緒に子育てをしてきたよう。
子育てに不安を感じた時も写真。愚図った時も写真。イタズラした時も写真。いつもカメラに支えられてきた。
例えば、子どもが生まれてイチバン大変な時期だと思っていたのは、やはり産後すぐ。
初めての赤ちゃんに初めての授乳にオムツ替え。
飲ませても飲ませても替えても替えても。泣き止まない赤ちゃんと二人きりのながーい1日。
嬉しいはずなのに涙が止まらない。世間から取り残されたような気持ちでいっぱい。分からないことだらけで不安いっぱい。
そんなときに1日に何度となく繰り返される授乳の写真を撮り始めました。
その時は冗談抜きに1日中と言っていい程にこの角度から赤ちゃんを眺めることが多かったのです。赤ちゃんは離乳食が始まるまでは、ミルクで育てる人以外は母乳だけで成長します。当たり前のことなのだけれど、改めて我が子が自分の母乳だけで日に日に大きくなっていく姿を目の当たりにして、不思議で不思議でならなかったのです。
もー!これは絶対に撮影しなくっちゃ!と撮り始めました。(不思議なもので、この時にはこのシーンを撮影することに全く抵抗がなかったのです。今考えると恥ずかしすぎる)
写真を撮って見てみると、自分のことを客観的に見ることができて不安だった子育てが俄然楽しくなりました。
それから、初めての子育てである長男のとき、今思えば次男よりもとってもとっても大人しくて育てやすい方だったと思うけれど、やはり子ども。お散歩のときに「もう歩きたくなーい!」と愚図って道に寝転がってしまった。
そんな時も「もう!」なんてプンプンしていないで、ささっとカメラを構える。
あら不思議 。写真を撮ること撮られることに意識が向くからか子どもも大人もなんだか楽しい気分になってくる。
そしてそんな出来事もかけがえのない素敵な思い出になる。
この写真は長男が初めていたずらをした時のこと。
大切に飾っていた古い古い貴重なテープを!楽しそうにびろびろ~と延ばして!!一瞬ひゃーっと思ったけれど、それもまたシャッターチャンス!
初めてのいたずらは是非撮っておかないと!とまたまたカメラを構えると、なんだかショックな気持ちよりも楽しい気持ちになってくるから写真って本当に不思議。
子育ての時期は永遠に感じて、大変な時を悩み過ぎて苦しんでしまうお母さんもいらっしゃるけれど、今は、今のこの瞬間だけ!
この一瞬一瞬が本当に愛おしい大切な時間な事を忘れずに。今がいちばん幸せな時だという事を実感して過ごしてほしいと思います。
モチロン私も!
PROFILE
原 未来このライターの記事一覧
写真家。2人の男の子のママ。高校卒業後に渡米し、写真家・ホンマタカシ氏のアシスタントを経て独立。
http://miraihara.wixsite.com/work
(制作 * エチカ)