食べごと研究所・山田奈美さんのこころも整う一皿「つわり中にも授乳中にもおすすめの『冬野菜の酒粕ベジグラタン』」


日本の食文化の素晴らしさを受け継ぐ活動「食べごと研究所」を主催する山田奈美さん。薬膳の考えと発酵食を取り入れた食事をすることで、しだいに心身ともに整ったという体験から、築90年以上もなる古民家に移り住み、アトリエで「和食薬膳教室」や「発酵教室」、「離乳食教室」を開講しています。そんな山田さんに妊婦ママにおすすめの、こころも体もほっと温まる「冬野菜の酒粕ベジグラタン」を教えていただきました!
酒粕は体を温める代表的な食材。ただ、アルコールを含んでいるため、妊婦さんは懸念されるかもしれませんが、使うのはわずかな量ですし、しっかり炒めたり、焼いたりするのでほとんど残りません。
酒粕を使うと、牛乳や生クリーム、バターなどの動物性脂肪を使わなくても、驚くほど濃厚でうまみの強いホワイトソースができあがります。我が家でもグラタンといえば、酒粕のソースが定番。
具材も今回は、消化促進や解毒の働きのある里芋、体を温める作用の強い長ねぎ、咳止めの働きを持つゆり根などの冬野菜を選びました。とくにゆり根はお正月ぐらいしか目にしないかもしれませんが、感情の浮き沈みや不眠などを改善して精神を安定させる作用があるので、気持ちが不安定になりがちな産前産後にもぜひ取り入れるとよい食材です。ゆり根が手に入らないときは、同じくホクホクとした食感のれんこんで代用するのもおすすめです。また、ボリュームを出したいときは、焼いた鶏肉やエビなどを加えてもいいですね。

RECIPE
冬野菜の酒粕ベジグラタン
所要時間:20〜25分
材料(2人分)
・里芋…4個
・長ねぎ…1本
・ゆり根…1/2個
・にんにく…1片
・酒粕…大さじ1
・酒…小さじ1
・米粉…大さじ1
・なたね油…大さじ1
・豆乳…200ml
・塩…小さじ1/2
・チーズ…好みで適量
作り方
- 1.里芋は皮ごと柔らかく蒸して皮をむき、一口大に切る。ゆり根は1片ずつ切り離して洗い、里芋と一緒に蒸す。長ねぎは4cmの長さに切ってグリルで香ばしい焼き色がつくまで焼く。にんにくはみじん切りにする。酒粕は常温に戻し、酒を加えて柔らかく練っておく。
- 2.フライパンを弱めの中火にかけ、なたね油を入れて酒粕を炒める。米粉とにんにくを入れ、さらによく炒める。
- 3.豆乳を少しずつ加え、その都度よく混ぜ合わせてクリーム状にする。塩で味を調える。
- 4.耐熱容器に里芋とゆり根、長ねぎを入れて、上から3の酒粕クリームをかける。好みのチーズをかけ、グリルやオーブントースターなどで表面に焦げ目がつくまで焼く。



ポイント
・里芋の中サイズは15分ぐらいで蒸し上がりますが、残り3分ぐらいでゆり根を加えると、ちょうど同じぐらいのタイミングで蒸しあがります。

・チーズの代わりに、焼き上がってからせん切りにした柚子の皮を散らしても季節感があって、和風グラタンとしてさっぱりといただけます。

PROFILE
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薬膳・発酵料理家/国際中医薬膳師/「食べごと研究所」主宰。
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。雑誌やwebなどで発酵食や薬膳レシピの提案や解説を行うほか、神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて、「和食薬膳教室」「季節の仕込みもの教室」「発酵教室」「離乳食教室」などを開催。 日本の食文化や手しごとを継承したり、体にやさしい季節の食養生を伝える活動を行い、幅広い世代の支持を集めている。著書に『昔ながらの知恵で暮らしを楽しむ家しごと』(エクスナレッジ)、『疲れた日のスープ 頑張る日のスープ』(文化出版局)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(家の光協会)など。
http://tabegoto.com
(制作 * エチカ)