息子が1才半の頃にできてしまったむし歯。「むし歯にしちゃってごめん」、悔やんでも悔やみきれず一念発起して、頑張って歯磨きを続けたその後のお話です。
息子の前歯にむし歯を発見したのは、まだ1才半の頃でした。当時のことを書いたコラムです。
初めての子育て、どんなことも出来ることは私なりに全力で頑張っていた、つもりだったのに…。その日は空が綺麗に晴れていて、明るいリビングでママ友とわいわい楽しくおしゃべりしていました。でもむし歯を見つけたその瞬間、驚きと後悔と申し訳ない気持ちと自分への情けなさ、いろんな感情が一気に押し寄せて周りの音も聞こえなくなるくらい…どん底に突き落とされたようでした。

そこからは一念発起!頑張って歯磨きを続けて、定期健診では毎回歯医者さんから「むし歯は大きくなっていませんね。お母さん頑張ってますね!」と褒めてもらったりして、どうにかこうにかむし歯は悪化することなく、息子はすくすく育っていきました。だけどやっぱり、いつも心の隅にありました。「むし歯にしちゃってごめん」。息子のとびっきりの笑顔の写真を見ていても、どうしても2本の前歯に目が行ってしまうんです。
息子が自分で歯磨き出来るようになってからも、仕上げ磨きをしながら「大丈夫、むし歯は大きくなってないみたい」だとか「あれ?もしかして進行してる?」だとか一喜一憂する毎日でした。

そして6年後、7才になってしばらくしたある日のこと、息子の前歯が1本抜けました。さらに次の日にもう1本。なんとその週末で、むし歯の前歯が2本とも抜けてしまったんです!
ずっと、乳歯が抜けるのなんてとてつもなく先のことだと感じていました。実際とてもとても長かった。まだ赤ちゃんだった息子が歯磨きを嫌がる日もいっぱいありました。私だって、眠くて眠くて「は…はみがきをせねば…」とうわ言のように言いながら歯磨きした日もありました。私の手のひらに乗った、ティッシュにくるまれた小さなむし歯の2本の歯を見ていたら、涙が出てきました。毎日毎日、息子も私も、歯磨きがんばったなぁ。

ちなみにさっき、『抜けてしまった』と書きましたが、正確には『グラグラしていた歯におもちゃがぶつかって抜けそうになって、最後は息子が自分で引っこ抜いた』です。「大丈夫?怖くない?ママが抜いてあげようか?」という私をよそに、「ぼく自分で抜くから大丈夫!」と息子。あれから6年、息子はずいぶんと頼もしくなったみたいです。

PROFILE
セキアキコこのライターの記事一覧
アメリカ・オレゴン州で出産と子育てをスタート。現在はメイン州在住。サンフランシスコで写真を学んだ後、スタジオアシスタント、ブライダルカメラマンとして働く。
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(制作 * エチカ)