先輩パパとママの毎日コラムvol.155

なんとなくおかあさん「妊娠中の体重管理」

2018/5/30
なんとなくおかあさん「妊娠中の体重管理」 なんとなくおかあさん「妊娠中の体重管理」

2人の子どものママでもあるライター・小宮山さくらさんによる等身大の子育てコラム。

妊婦さんならではの不安のひとつに、どんどん増加していく体重問題があるのではないでしょうか。

妊娠したその日から、じわじわと増えていく自分の体重。(吐きづわりで体重が落ちてしまう方もいらっしゃいますが、わたしはつわり中でも増加するタイプでした)。自分のものじゃないみたいに立派になっていく胸、どんどんふくらむおなか、たくましくなる腰まわり。わたしの場合は妊娠直後からほっぺたがふくふくとしてきて、人相が変わり、鏡を見るたびにぎょっとしました。そのすべてが愛しい赤ちゃんを迎える準備だとしても、よく知っているはずの「いつもの自分」がどんどん変化していってしまう現実はなかなか受け入れがたいものがありました。

わたしは妊娠するまでの10年ほどは体重の変動がほとんどなく、妊娠判明時もそこまで体重に関して深く考えていなかったのですが、最初の2ヵ月ですでに3kg増。いわゆる安定期と呼ばれる妊娠5ヵ月ごろからは体重増加が一気に加速、あっというまにアウトオブコントロールな事態に……。

それにしても、なんなんでしょうかね、安定期特有の、あのご飯のおいしさ。つわりが終わった喜びも追い打ちをかけ、口にいれるものすべてが「おいしすぎる!」「もっと食べたい!」「あれもこれも食べたい!」。何を食べてもおいしすぎてしあわせ。でも体重はどんどん増えていく。天国だけど地獄……みたいな、大変な毎日でした。

ところでわたしは里帰り出産だったので、臨月まで通っていた病院と、実際に出産をした病院とが異なりました。臨月まで通っていた家の近所の産院の先生は指導が厳しい方で、妊娠7ヵ月の時点で「体重が増え過ぎです」「もう1kgも増やさないぞ、くらいの気持ちで体重管理してくれなきゃ困りますよ」とぴしゃり。「えっ、わたし、このままじゃダメかも!」と心配になり、健診のたびに不安が大きくなっていくのを感じていました。

止まらない食欲と、増えていく体重。妊婦さん同士で集まると、体重管理は必ず話題に出る大きなトピック。妊婦の友人の中には、「あと3kg増えたらうちではお産できませんよ」と警告を受けた人もいて、体重が増えすぎると出産時のリスクが高まるというのがその理由のようでした。体重管理を頑張りたいのに、年配の方から「妊婦は二人分食べなくちゃ!」とたくさんすすめられ、お断りしにくく辛かった……という友人も。世代間の感覚の違いもあるし、もちろん好意によるものでしょうから、これはなかなか辛いですよね。「産院の指導で、食事量は適正なほうがいいんです」と、ガイドブックのコピーなどを見せて、分かってもらえるように頑張るしかないかもね、なんて励まし合ったりしていました。

そんなこんなでいよいよわたしも里帰りとなり、初めて地元の病院で健診を受けることに。妊娠8ヵ月で、すでに9kg増。ガイドブックなどに載っている適正増加体重の「7〜8kg」はとっくに過ぎています。「体重のことで怒られる……」とびくびくしていたら、「はい、問題ありませんね」とスルー。先月まであんなに注意されていたのに?と驚き、「体重、大丈夫でしょうか?」と聞くと「え?全然大丈夫ですよ?」とあっさり。臨月に入り、おなかはさらにどん、どんと大きくなっていきましたが、ラストの体重増加は不思議とゆるやかに。健診時の先生の笑顔のおかげで、あまり不安になることもなく出産当日を迎えることができました。

結果的には、一人目は10.8kg、二人目は12.3kg増加した状態で出産。なかなかの増えっぷりでしたが、出産時の体重増加によるトラブルはありませんでした。

産後、いろいろな世代の出産経験者から体重のことを聞くと、体重の増え方もさまざま、産院の指導も実にまちまちなことがわかりました。特に、母の世代では「20kg以上増えた」という方が何人もいらっしゃることを知ってびっくり。わたしの印象では、地方より都心のほうが、そして母世代より現代のほうが指導が厳しくなっているようです。とにかく「場所や時代、お医者さんによってこんなに違うんだ!」ということが驚きでした。

医学的なことは分からないですし、結果的に安産だったから言えることかもしれませんが、あくまで自分の主観でいうと、わたしは地元の先生のおおらかな感じが自分の性格にあっていたように思います。気持ちが不安定になりやすい妊婦時代、たった1kgの増加に一喜一憂し、ストレスをためたり、自分を精神的に追いつめてしまうよりは、「普段から体重管理のために自分でできることはやってるんだから、少しぐらいは大丈夫!」とゆったりとした気持ちで構えたほうがよかったのかも。そんなわけで、二人目のときは一人目のときよりものん気になってしまい、結果的に12kgも増えてしまったわけですが……。

産院によっての方針もありますが、同じ産院のなかにもいろんな考え方をお持ちの先生がいらっしゃると思います。担当の先生と信頼関係を築くというのは、安心してお産に臨む上でとても大切なことなので、不安なことや質問があれば、納得がいくまでどんどん聞いてみたほうが良いんじゃないかな、と思います。

最後に、わたしの妊娠中の体重対策について少々ご紹介。妊娠中は激しい運動はできないので、ひたすら近所をウォーキングをする、水分をたくさんとる、野菜をいっぱい食べるなど、無理のない範囲で「毎日の習慣にできること」を心がけていました。どうしても甘いものが食べたくなったときは、寒天のおかしや和菓子などの低カロリーなものや、生のフルーツなどを楽しむようにしました。口さみしくなったときは甘い香りのカフェインレスティーや妊婦さんもOKな種類のハーブティー、ルイボスティー。食べ物のことを考えないように、テレビや本の世界に没頭することも。とにかく、「頭のなかを食べものでいっぱいにしない!」ことをテーマにしていました。

不安になりすぎて自分の精神が不安定になってしまっては元も子もないので、ときどきは好きなものを食べることもOKに。そのかわり、せっかく食べるならおいしいものを!と、大好きなお店のランチやケーキを食べにいきました。出産後は外食もしばらくできなくなると聞いていた(実際そのとおりでした)ので、当時どうしても食べたかった人気店のパンケーキを夫と食べにいったり、母と二人でフルーツパーラーのストロベリ—パフェを楽しんだり。結局、パフェを食べた1週間後に出産することとなったのですが、いまでもあのときのパフェのおいしさは忘れられないほど……。楽しい「ごちそうの記憶貯金」ができました。

赤ちゃん

ちなみにわたしの場合、産後はダイエットを意識するひまもなく、寝不足と授乳の疲れで一気に体重がダウン。あっというまに妊娠前の体重に戻ってしまいました。全然健康的な痩せ方ではなく、目に見えてやつれたので、まわりにとても心配されましたし、ふらふらしてすごく辛かった。やっぱり、赤ちゃんと過ごすハードな日々に、体力とある適度の体重は必要です。産後に思うように体重が減らなくて悩んでいるかたも、シェイプアップにトライするのはある程度体調が落ち着いてからのほうがよいかもしれません。

どんどん増える体重は、おなかの赤ちゃんがすくすく育っている証拠。たいへんなことも多いですし、不安と喜びが入り交じる日々かと思いますが、赤ちゃんに会えるまであと少し。どうぞ、かけがえのない妊婦生活を楽しんでくださいね。応援しています!

小宮山さくら

PROFILE

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ライター。クリエイターへの取材やインタビューを中心に、『カメラ日和』『tocotoco』(第一プログレス)などの雑誌、書籍、広告などで活動。参加書籍に『無名の頃』(パイインターナショナル)、『脇阪克二のデザイン』(PIEBOOKS)、『エジプト塩の本』(美術出版社)、『猪熊弦一郎のおもちゃ箱』(小学館)など。目下、2児の子育て中。

(制作 * エチカ)

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