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「授乳期の応援お願いカード」ワークショップレポート 〜妊娠中に知っておきたい産後ママの心と暮らし〜

2019/1/23
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ピジョンにっこり授乳期研究会とコモドライフの共催で、妊娠中から産後の心と暮らしを考え、「授乳期の応援お願いカード」を作るワークショップが開催されました。にっこり授乳期研究会の専門家で、幅広く妊娠や子育てに関する活動をされている棒田明子先生が講師を務め、産後ママの心と暮らしについてお話しいただきました。

——今回のワークショップに集まっていただいたのは、初めての出産を迎えるプレママ6人。「まだ具体的に産後のイメージがつかめてません」「産後のことを考えるキッカケにしたくて参加しました」と話すプレママたちに、「ピジョンにっこり授乳期研究会」の専門家で、NPO法人や地域・行政などで子育てに関して幅広く活動し、“産後ママの応援団長”としても活躍している棒田明子先生から「妊娠中から知っておきたいこと」と題して講義が行われました。

棒田先生からのお話棒田先生からのお話

産後の女性は“けもの化”する

まず、産後の女性は“けもの化”することはご存知でしたか?「ガルル期」とも呼ばれていますが、産後の女性は、赤ちゃんを守ろうとする力が強く働き、サポートしてくれる夫や母親とぶつかってしまう人も多いんです。その原因として考えられているのが体と心の急激な変化。通常の月経周期のホルモン量のピークをマンション20階から落ちるイメージとすると、出産後は胎盤が外に出るのに伴いエベレスト級の山からガクンと落ちるイメージです。それほどに危険的な状況です。

産後、授乳すると分泌されるホルモン「オキシトシン」は、「愛情ホルモン」とも言われますが、その一方で自分に非協力的、批判的な行動をされると、いきなりその人を除外したくなる攻撃的な一面もあります。動物や鳥も、子どもや卵を生んだら攻撃的になりますよね。それと同じ状態になり、その攻撃がどこに向かうかというと、近くにいる夫やお母さんに強く向かってしまいます。このような状態になる自分のことを、近くにいる家族にしっかり伝えておくのが大切なのですよ。

育児不安とロス

また、赤ちゃんが生まれると「おめでとう!」と言われ、ママが全員ハッピーになるようなイメージがありますが、もちろん赤ちゃんはカワイイ反面、おなかの中からいなくなってしまった喪失感、これから本当に母親になるという葛藤、仕事から離れなければならない現実……不安でいっぱいにもなるのが当たり前です。

産後は姫に!

さらに、出産後は悪露パッド(オロパッド)を付けますが、この悪露パッドの大きさはどのくらいか知っていますか?なんとA4サイズほどの大きさなんですね。生理用ナプキンの何倍もの大きさです。つまり、それだけ出血があるということ。さらに後陣痛や不眠、骨盤や恥骨の痛みなど、ママの体は大ダメージを受けています。できる限り安静にして、横になっていることをおすすめします。妊娠中は常に体をいたわってもらえますが、産後こそ「お姫さま」扱いしてもらうようにしましょう。

ワークショップの様子

赤ちゃんは泣きます!

これからママになる皆さんにしっかり知っておいてほしいのは、赤ちゃんは泣く、ということ。しかも、小さな体なのに体力あります(笑)。生まれたときはかわいい泣き声ですが、体重が増えるとともに、声が大きくなり、泣く時間も長くなります。赤ちゃんが泣くピークは1〜2ヵ月の頃で、3ヵ月目あたりから落ち着きます。授乳が安定するのもそのくらいかかるんですね。赤ちゃんもママも、最初は初心者同士なので、なかなか授乳がうまくいかないんです。

資料

ママと赤ちゃんが2人きりでいる時間はどのくらい?

では、ここで、パパが出勤する時間と帰宅する時間を記入し、パパが家にいない時間を計算してみましょう。その間、ママは赤ちゃんと2人きりになってしまうんです。

(※ここでみなさんにその場で考えてもらいました)

だいたい皆さん、10時間以上ですよね。長い人だと15時間以上の人もいますね。里帰りする人は、だいたい1ヵ月ほど実家にいて、それから自宅でパパと赤ちゃんと3人の生活が始まります。自宅に祖父母やサポートの方に来てもらう人も、1ヵ月健診でOKが出るとそのサポートも減る。それだけでなく、パパの残業や飲み会などが増えるのもこの時期くらいからです。ママたちが一番しんどいと話す期間は、産後1〜3ヵ月までの間です。この期間、10時間以上も赤ちゃんと2人きりで、授乳もうまくいかない、赤ちゃんは泣きっぱなし、さらに育児の他の家事もやらなくてはなりません。産後1ヵ月、祖父母などのサポートがあったのに、ガクッとそのサポートがなくなり、ママは孤独を感じてつらいんです。

だからこそ、妊娠中から、産後の育児や家事にはどんなことがあるのか、あらかじめイメージを掴んでおくことが大切です。「授乳期の応援お願いカード」は、そんな思いを込めて作りました。

HelpとThank Youは言葉に出そう!

パパは、子育てのサポートをしたくても、出遅れています(笑)。ママは赤ちゃんと十月十日過ごしていますが、パパは赤ちゃんが生まれてからがスタート。その上、お母さんの声、においは、胎内にいるときから聞き、嗅いでいるので、お母さんに抱っこされたり、声をかけてもらうと安心しますが、パパのにおい、声は初体験なので“これは誰だ?お母さんじゃない!!ビェ〜ン”と泣く訳です。赤ちゃんがパパに慣れないと困るのは誰でしょうか?そう、ますます育児を1人でしなくてはならなくなって、ママが困るんです。まずは赤ちゃんとパパ、お互いに慣れてもらう。慣れるには、抱っこする、オムツを替える、声をかけるなど、数と時間を重ねるしか方法はありません。そして、「やってほしいこと」は言葉にして伝える。パパに自分の気持ちや、やってほしいことを「察してほしい」という希望は、残念ながらパパにはハードルが高いのです。そして、パパがサポートしてくれたら「ありがとう」と言葉にするようにしましょう。

棒田先生

妊娠中から、食う、寝る、遊ぶ、ととのえる

もうひとつ、妊娠中から心がけてほしいことは、日常生活を整えることです。朝起きて、ご飯を食べることは産後うつの予防にもなります。妊娠中から7時までに起きて、朝ごはんは家族で顔を合わせて食べる習慣をつけ、産後も継続しましょう。夜中の授乳はありますが、朝起きて、朝食を取り、睡眠不足はお昼寝と早寝で補うとよいでしょう。夜中の授乳のとき、パパが寝ていると頭にくる!というママもいますが、母乳ならば特にパパはすることもないので、起こす必要はないでしょう。ミルクならば、泣く赤ちゃんをあやしながらミルクを作るのは大変ですし、泣きすぎるとなかなか飲めないこともあるので起きてもらったほうがよいですね。授乳中など大量のうんちで衣類が汚れてしまったなどの非常事態には、もちろん起こしてOKです。

家族の生活リズムは、赤ちゃんの生活リズム。夜に寝て朝起きる、というサイクルを早めに作ってあげましょう。

ワークショップの様子2

——とてもわかりやすい内容で、参加したプレママの皆さんも、産後の暮らしを具体的にイメージできたようでした!最後に、棒田先生より今回の講義に込めた思いを、改めて伺いました。

棒田先生
両親学級でプレママ・プレパパにお話したり、個別カウンセリングをしたりしていますが、産後の暮らしについては、皆さん具体的にイメージできていないんですね。授乳と授乳の間は、3時間くらいは空くと思っていたり(実際は3ヵ月くらいまであまり空きません)、赤ちゃんがいながらの片付けや掃除、料理、洗濯、買い物はどうするんでしょうか?これらの家事をママが1人でやっていては大変です。そんな産後の暮らしを、できるだけ具体的にイメージしてほしいと思っています。

また、妊娠中は家族だけでなく、知らない人からも『妊婦さんだから体を大切に』といたわってもらえますが、出産したら『おめでとう!』だけで、なぜかいたわってもらえなくなるんです。産後ママの体のダメージは非常に大きく、いたわってほしいのは産後こそ。心も“ガルル期”で不安定です。妊娠中は過保護にせず、産後こそお姫さまのように扱ってもらえるように、今からサポートしてもらえるように準備してくださいね。


当日の配布資料PDFダウンロード

「ピジョンにっこり授乳期研究会」とは

にっこり授乳期研究会は、「より多くの赤ちゃんが健康に育つこと、より多くのママが子育てに幸せを実感できる」社会を目指し、授乳期の様々な課題を複数分野の専門家と共に議論し情報を交換し、解決策を見出していくプロジェクトです。

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