先輩パパとママの毎日コラムvol.356

Life is a Journey!!「お産最高でした!」

2020/9/11
Life is a Journey!!「お産最高でした!」 Life is a Journey!!「お産最高でした!」

フォトグラファーとして、ミュージシャン・絵描きの顔を持つ会社員の夫と愛娘にメロメロ。夫婦で綴る育児奮闘記、今回はついにお産編!出産の様子を詳細に綴った「メモ」は、思わず手に汗握る臨場感たっぷりです。

(前回のつづき)

無痛分娩でも陣痛が始まったら限界ギリギリまでは麻酔に頼らず頑張ってと言われていたので、多少の痛みはあったもののまだ冷静に携帯に出産までのメモを記録し続けていました。それに陣痛の痛みは経験してみたかったので、じっと耐えてみます。ここで少し陣痛促進剤を強めて、ついに背中に麻酔用の管を通すことに。横向きになって少しだけ背中がちくっとする感じ。冷たいものがキューっと入ってきて、麻酔のチューブが挿入完了!

12時40分
夫が戻って来た。だんだんと痛みが増し、腰とおなかの左下が激痛。耐えきれず息が荒くなり冷や汗すごい。夫も急変した私を見て焦っていた。人生初のナースコールを押した。点滴を少し弱めてもらったけど、麻酔はまだ入れてもらえず。事前に入れていた陣痛アプリで間隔を計ると2分を切る短い間隔での陣痛が来ていた。大丈夫なのかな、もう結構痛いけど、いつまで耐えればいいんだろ?どれだけ続くの?痛みには強い自信がある。しかしこれ以上痛くなったら気を失いそう…というところまで来た。麻酔を入れる前に一度トイレに行きましょうと、先生に言われたけど、この状態で立つの!?痛い波は2分以内にやって来るのに!?なんとか壁に手をつきながら移動した。その間は陣痛が3回来て、動けないほどの痛みだった。

14時
「ここまで頑張って耐えられたので、進みはいい感じですよ」と言われてちょっとホッとした!痛すぎて意識が遠のきそうなところで、そろそろ麻酔入れましょうと天の声。徐々に麻酔が効いて来ると、さっきまでの痛みが嘘のよう。少しずつ楽になり無痛のすごさも実感。30分後には余裕で写真を撮ったり、メールもできるように。

14時半
子宮口4.5cm。今日産めるかどうかは、夕方にどうなるかで判断するとのこと。腸の動きを止めて子宮を柔らかくする薬も投入。麻酔がかなり効いて来て、もうおなか全然痛くない!!!!!!さっきまでの辛さは忘れてしまった。しかしなぜか目に異変が。近くのものが見えにくくなくなった。携帯の文字が読めないしメモがかけない。気のせいかと思ったが、念のため聞いてみると薬の副作用らしい。30分もすると普通に戻ったがびっくりした。

15時15分
夫はのんきにおなかが空いたとパンを食べに外に出て行った。一人だと少し心細い。私もおなかすいたのに。無痛だけど、少しおなかが引っ張られたり腰が痛い感覚は残っている。それがだんだん強くなってきたのも感じる。親友が出産用に準備してくれたアロマをタオルに垂らして、それを握りながら香りに癒される。足が冷たいので体勢を変える。

16時
少し強めの陣痛に変わる。今までのはまだ予告編だったのか。ここからが本番だなと、スイッチが切り替わった感じがあった。陣痛中に赤富士を描いてと頼まれていたので夫と二人で描く。夫の赤富士のほうががめちゃめちゃ上手。だけど果たしてそれはご利益あるのか…。とにかく喉が乾いて仕方ない。水分で空腹も満たす。

16時30分
おなかは痛いけどさっきよりは我慢できる。子宮口が8cmに!この調子なら今日産めるみたいだ!頑張って耐えた甲斐があった!その後、17時すぎまでほぼ記憶ない痛み!痛い!痛い!痛い!と声が出ちゃうくらい痛い。おなかと腰は麻酔が効いてるけど、前の骨がミシミシと音を立てていた。これ以上耐えられない!というギリギリのところで、夫にヘルプ!手が伸ばせなかったのでナースコールを押してと頼んだのに、いつまでたっても誰も来てくれない!辛すぎてナースステーションまで呼びに行ってもらう。なんと、夫が押していたのはナースコールではなく麻酔のボタンだった…。麻酔は痛い時には自分で押して良かったらしい。お陰でまた麻酔が徐々に効いてきた(笑)。産みたいという感覚があるが、先生がまだ隣のお部屋の人の処置をしているので待ってねとのこと。急いで〜お願い〜限界が近い〜もしかしたら出ちゃうかも。いきみたいってこのことかな?母親学級や本で読んだことを思い出す。そういえば、テニスボールとか、そういうやつ、いつやるんだっけ?陣痛の間隔のアプリももうすっかり忘れていた。その時、先生がようやく来てくれた!

「お待たせ〜!頭出てるね〜!髪の毛がちょろりと出てるよ」って!でしょうよ!もう出ちゃうってば!(心の声)先輩ママに「出産はとにかく笑顔でね!」と言われ、絶対に楽しみたいと思ってた。赤ちゃんの頑張っている姿を想像するだけで、痛みも吹き飛びパワーになる。

「さあはじまりますよ!頑張りましょうね」と元気でかわいい助産師さんが笑顔でお部屋にやってきた。明るく緊張感をといてくれた。いよいよなんだ!と、夫と目を合わせ手を握る。

17時50分
最初のいきみ。1回目は目を瞑ってしまい失敗。とにかく痛みの波のタイミングに合わせて呼吸する。力の入れ方を間違えると顔の血管が切れそうだ。顔には力を入れずに下半身に気持ちを集中。大きく吐いて、吸って、息を止めて足と手を使っておなかを押し出す感覚。ヨガで習った呼吸法で深く吸ったり吐いたりすることを覚えていたのがとても役に立った。吸うのを忘れちゃいそうになるので大きく息を吐く。これをずっと意識していた。夫は頭を支えてくれていたけれどもそっちも力が入りすぎ、先生におなかを押されて私は息ができなくなり、気持ち悪くなって吐いてしまった。なんだかその瞬間ふと力が抜けた。あわあわと焦る夫を見てみんなで笑ってしまった。1回の痛みの波で2度いきむけど、1度目しかうまく力が入らない!いきむ時以外は先生とカメラの話や雑談をしていた。陣痛の波が来ない間はいつも通りのおしゃべり妊婦。「今から赤ちゃん産むの?なんかもっと、感動的なシーンじゃないの?」と夫はよく喋る私をみてなんだか不満げだった。

「おなかにいるこの感覚、こうやって赤ちゃんの心音を聞くのもあと数分だよ〜」と助産師さんに言われると、妊娠発覚からの十月十日を思い出しなんだか急に切なくなった。同時にいよいよ産まれるのかな?と楽しみな気持ち、痛みに、緊張に、心がいそがしい!最後のいきみはとても上手にできた。とても気持ちの良い瞬間だった!

18時19分
産まれた!

高い声でオギャーと泣くわが子を見た助産師さんの第一声。「おにぎりみたいなお顔〜!かわいいほっぺたよ〜」部屋中に笑い声が響き渡る(まだ顔よく見えてないよ〜私の赤ちゃんおにぎりなの?と一瞬不安になる。先生たちもおなか空いていたのかな?)。産んだ瞬間「あー楽しかった!先生ありがとうございます!お産最高でした!またやりたい!」と言った私を見て夫は目がテンになっていた。

娘を胸に抱かせてもらって、小さな手を握る。やっと会えたね、ようこそ!

あとから夫が撮影していた動画を見ると、私は胸に赤ちゃんを抱いてこんなことを言っていた。「わぁ。よく入ってたね。髪の毛すごいね。ちっちゃい。すごい。声が可愛いね。ふふ。」これが娘にかけた最初の言葉です。頑張って産まれてきてくれてありがとう!

夫は私の横でずっと小さな声でワァワァと言っていた。いつも冷静な人なのに!娘の手を初めて握る時も手が震えていて、どうやら私よりも緊張していたようです。夫と目を合わせ無言で頷きあい、とにかく無事に産まれて来てくれたことに安心して、ここでようやく涙が出たのでした。

記念すべき1枚目!記念すべき1枚目!

早速、夫に「カメラちょうだい!」と自分でも初めての撮影。最初から目線をくれて、嬉しくて胸がいっぱいになりました。今日からいっぱい写真を撮らせてね。よろしくね!

お父さんと娘!抱き方がぎこちないのもまた思い出。お父さんと娘!抱き方がぎこちないのもまた思い出。

娘は少し呼吸が弱く、酸素濃度が足りないようでこの日は保育器で様子を見ることに。私は出血が多く、貧血のため3時間動いてはいけない状態。ちょっと心配だけど、今日はゆっくり休んで明日からの日々を楽しみにしているよ!

「大丈夫?」「おなかすいた!!!」産後すぐの私達夫婦の会話。24時間以上何も食べてないんですもの!さっき出産したその場所で、楽しみにしていた豪華なお食事をいただく。フカヒレやらアワビ、美味しくて栄養のあるご飯をモグモグと食べる私を見て夫は今日一番驚いていたかも。病室に戻れたのは23時半。これまた人生初の車椅子での移動。今日は初めてがいっぱいだ。赤ちゃん大丈夫かな、早く会いたいな。

「スヤスヤ寝ていたよ!」と夫が代わりに何度も様子を見てきてくれました。「スヤスヤ寝ていたよ!」と夫が代わりに何度も様子を見てきてくれました。
この顔…いろいろ物語っています。この顔…いろいろ物語っています。
お部屋で寝転びながら撮った写真!長い1日を無事に終え、ほっと一息。お部屋で寝転びながら撮った写真!長い1日を無事に終え、ほっと一息。

0時40分
ベッドで横になるが、なんだか暑くて顔が火照っている。まだ興奮冷めやらぬ感じで忘れないようにメモをし続ける。熱を測ったら37.8℃。アイスノン枕をもらってやっと眠れそうだ。最高の1日だった!

2019年6月22日土曜 晴れ曇り雨

夫編はこちら

石野 千尋

PROFILE

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1983年生まれ。東京工芸大学芸術学部卒業後、渡英。Central Saint Martins, London Collage of communicationを卒業。在学中より仕事を始め、色と光を大切に、世界中を飛びまわりながら日々写真を撮り続けている。
http://www.chihiroishino.com/Instagram @chihiroishino

(制作 * エチカ)

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