写真好きのママがお届けする、2人の子どもの子育て写真日記。今回のテーマは「おひなまき」です。
赤ちゃんが首まですっぽりおくるみにくるまれているコロンとした姿を初めて見たのは、海外赴任中にアメリカで出産をした姉を訪ねにいって、甥っ子に初対面したときだった。
周りにもまだ出産をした友人が少なくて、赤ちゃんだとか子育てに関する知識がほとんどなかったので、そのときはそれが普通なのか珍しいのかも分からず、ただ「気持ちよさそうだな」と思ったのを覚えている。
すると母が「おもしろいわよね、アメリカではこうやって巻くんだって」と言ったので、少なくとも母がわたしたち姉妹を育てた30年前の日本では一般的ではなかったようだ、ということは分かった。
それから4年経って、自分自身が娘を出産したときは、姉が二人の子育てに使ったおくるみのお下がりが手元にあったので、わたしもなんとなくで、やってみたりもした。
「おひなまき」という言葉は知らなかったし、娘を産んだ産院では取り入れていなかったけれど、冬生まれだったし温かそうだなという気がして。このときは、あくまでなんとなく、毛布をもう一枚くらいの感覚でふんわりと巻いていたのだけど……。
その更に3年後、息子を出産した頃には、SNSなどを通じて、海外で子育て中の友人たちがすっぽりとくるまれた赤ちゃんを抱いている姿をよく見かけるようになっていた。
赤ちゃんをおくるみで巻くのは、スワドリング(swaddling)といって、子宮のなかにいたときと似た姿勢になるので落ち着くとか、モロー反射で体がビクっとすることを防げる、といったことらしかった。
なるほど、そういう意味があったのか。ということで、息子のときには、以前よりもはっきりと意図をもって、キュッ、キュッと、くるんだ。
ちなみに、息子を出産した産院では、助産師さんたちが「おひなまき」をしてくれていた。わたしは英語圏のサイトなどを見て「スワドリング」の仕方を真似していたけれど、写真を見返してみると、巻き方が少し違う。その後SNSで「おひなまき」の投稿をよく見かけるようになって、産院でやってもらっていたのはこれだったんだな、と気付いた。
さて、「スワドリング」「おひなまき」には、前述のように、落ち着く体勢が保てる、モロー反射が防げる、などといった利点があるようなのだけれど、それによって、赤ちゃんがぐっすり長く眠れる、というのが、一番嬉しい利点だと思う。
わたしは息子を出産した産院で、おくるみでくるんで、さらに、授乳クッションで包み込むように寝かせる、という技を教えてもらった。これがすごく効果があって、目が覚めている状態で置いても、あまり愚図らない。さらになんと、そのまましばらくすると、ひとりでに寝てしまうこともあったのだ。(こんなことだったら、娘が産まれたばかりの時にもっと真剣に調べて試すべきだった……! あの永遠に思えるゆらゆら時間はなんだったんだ……!)
そんなこんなで息子は、家にいるときはだいたいいつも、くるまれていた。自分で手足を動かしておくるみを解いてしまうようになるまで。見返してみると、4ヵ月くらいまではくるまれている写真が残っていた。4ヵ月か、意外と短かったんだな。
このとき使っていたキリンのブランケットは、息子はもちろん、隣でいつも見守ってくれていた娘も気に入っていて、いまでもときどき取り合ってケンカしている。
PROFILE
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東京生まれ、横浜育ち。女の子と男の子の三児の母。家庭業の傍ら、編集・ライティング・翻訳などの仕事を少々、ニットデザイン・制作販売の仕事を少々(Juhla[ユフラ]主宰 /『輪針だからカンタン! おしゃれでかわいい手編みこもの』発売中)。
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(制作 * エチカ)